酢がもたらす健康効果
調味料を入れる順番の基本は「さしすせそ」と言われていますね。
アシスタント仲間のmariさんが、砂糖や塩についてのコラムを書いていたので、
その流れに乗って今回は「酢」について書きたいと思います。
料理に酢を少し加えることで、肉や魚を軟らかくしたり、おいしくする効果があります。
人類が作った最古の調味料「お酢」
日本の酢の歴史は、3世紀頃に中国から酒を造る技術と前後して伝わってきました。
平安時代には、米酢、酒酢、梅酢、しょうぶ酢、果実酢などが使われていたそうです。
飛鳥時代には、大宝律令で酢の専門部署が設置されるほど酢は貴重で、
限られた人しか使えなかったそうです。
室町時代になると、酢を使う料理が増えて消費量も増えました。
「なます」は日本古代で最初に積極的に酢を使った料理です。
江戸時代になると、米酢や酒酢が大量に生産されるようになり、
大正時代には酢酸が輸入され合成酢が出回るようになりましたが、
高度経済成長時に合成酢から醸造酢へと転換されていきました。
穀物酢と果実酢
醸造酢は穀物から作られる「穀物酢」と、
果実から作られる「果実酢」に分けられます。
●穀物酢
穀物が原料で1L中40ｇ以上
穀物を使用したものが穀物酢です。
・米酢は白、赤、黒の3種類があり、
米のみで作られたものを純米酢と言います。
黒酢は精白していない米が1L中に180ｇ以上含まれています。
米酢はすしや酢の物によく合います。
・穀物酢は米、麦、トウモロコシなどの
様々な穀物から作られる一般的な酢で、幅広い料理に使用されます。
・モルト酢は麦芽の蒸留酒を酸化発酵させたものを熟成させ
濾過したもので、ピクルスやドレッシングに使われます。
●果実酢
果実が原料で1L中に300ｇ以上の
果汁を使用したものが果実酢です。
・バルサミコ酢はイタリア特産の酢で、
ブドウ果汁を発酵させ数年間熟成させたものです。
肉や魚料理のソースに使われます。
・ワイン酢は白、赤、シェリー酒、シャンパンなどから造られ、
原料の色と味の特徴を残していてドレッシングやマリネなどに使われます。
・リンゴ酢はアルコール発酵と酢酸発酵の2段発酵で造られ、
カリウムが豊富なのが特徴です。
アミノ酸が少ないのですっきりとしていて、サワードリンクに向いています。
お酢の健康効果
酢は様々な健康効果に期待ができる調味料でもあります。
●血圧を下げる
酢を摂取すると主成分の酢酸が細胞内に取り込まれ「アデノシン」に変化します。
血管壁にあるアデノシンレセプターにはまると血管が拡張し、
血圧が下がるので高血圧の改善につながります。
この効果は高血圧の人のみに作用し、血圧が正常な人や低血圧の人には影響しません。
●食欲増進
酢の酸味で唾液の分泌を促進し、胃腸の働きを活発にして消化・吸収を促し、
胃腸の調子を整える手助けをしてくれます。
●生活習慣病の予防
中性脂肪値や血中のコレステロール値を
低下させる効果があり、
心筋梗塞や脳梗塞、
動脈硬化、肥満などの予防効果があります。
●糖尿病の予防
血糖値の急激な上昇を抑える働きや内臓脂肪を減らす効果があります。
●骨粗しょう症の予防
カルシウムは酢と結びつくことで水に溶けやすい酢酸カルシウムに変わり、
日本人が不足しがちなカルシウムの吸収率を高め、効率よく摂取できます。
●殺菌・抗菌作用
微生物の増殖を抑える力があるので、食中毒予防に役立ち、
酢漬けにすると食品の保存性もアップします。
これらの健康効果が期待できる摂取量は、1日あたり大さじ1杯と言われています。
飲料にする場合は、胃が荒れないように5倍程度に薄めて飲みましょう。
無理なく摂取するには、料理に活用するのがおススメです。
弊社ではおひとりおひとりの目的やライフスタイルに合わせた
食生活サポートの提案も行っております。
ますは、気軽にお問い合わせくださいませ。
担当者 若林 ゆかり
＜参考文献＞
・酢酸菌研究会「酢の機能と科学」朝倉書店（2012.11）
・NHK科学・環境番組部、主婦と生活社「ためしてガッテン」編集班
「発酵パワーの簡単おかず「酒かす」「酢」「みそ」「ぬか」」主婦と生活社（2012）
・米村望「NHKあさイチ驚きの効果ハチミツ＆酢のパワー」NHK出版（2011.5）
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