乾燥をストップ!内側から潤う肌をつくる食事のポイント
冬も本番となり、気温の低下も本格化してきました。
お肌の乾燥が気になる方も多いのではないでしょうか?化粧品でしっかり保湿しているのに全然良くならない場合、見直すべきは食生活かもしれません。
乾燥はしみ・しわ・たるみなど全ての肌トラブルの引き金となる初期症状です。大きなトラブルになる前に内側からもケアして美しいお肌をキープしましょう。
乾燥肌の原因は?
乾燥肌には様々な原因があり、何気なくしている事が乾燥を引き起こしている場合も。普段の生活全体を見直し、総合的な対策が必要です。
●外的要因・・・洗いすぎている、日焼け(紫外線)、アレルギー、外気の乾燥
●内的要因・・・食生活の乱れ(栄養不足)・加齢・寝不足
今回は、中からのケアとして「栄養不足」の原因と対策についてお話していきます。
お肌の潤いの98%は食事から供給される
内側から潤うお肌をつくるには、保湿よりも保水力を高める事が大切です。化粧品で保湿しても、それをしっかり保持できるお肌がなければ乾燥は改善されません。
健康なお肌の水分保持力は
①肌表面の皮脂膜 2~3%
②角質細胞内の天然保湿因子(ヒアルロン酸など) 17~18%
③ 角質細胞間の脂質(セラミドなど) 80%
このうち②③の材料となるのは、主にアミノ酸や必須脂肪酸などです。
これらは食事から取り入れる必要があり、潤いの約98%が食事から供給されている事になります。
「皮膚は内臓の鏡」とも言われ、バランスの悪い食生活が続くと内臓が弱ったり、血行が悪くなったりして皮膚のターンオーバーが乱れ、健康でみずみずしい角質が育たず、不調としてお肌に表れます。
ヒアルロン酸やセラミドなどの角質層の潤い成分をしっかり生成し、内側から潤うお肌を作っていくためには、細胞のひとつひとつが元気である事が不可欠です。そのためには、バランスの良い食事をとり、細胞すべてにきちんと栄養素をいきわたらせて、新陳代謝をスムーズにしていきましょう。
お肌の潤いを作る栄養素とは?
お肌の材料「たんぱく質」
<食材>肉・魚介類・大豆製品・卵など
お肌の材料となるたんぱく質が不足すると角質細胞の生まれ変わりが正常に行われません。
その結果、保湿成分のヒアルロン酸も十分に生成されず、乾燥しやすいお肌になってしまいます。麺類中心の食事では特に不足しやすくなります。一食当たり手のひら程度の量を摂るのが理想です。
セラミドの材料「必須脂肪酸(オメガ3)」
<食材>魚介類・くるみ・エゴマ油など
体を構成する細胞の膜は主に必須脂肪酸でできています。その必須脂肪酸が不足すると細胞の生まれ変わりが正常に行われず、ターンオーバーが乱れ保湿成分のセラミドの生成も不十分になりお肌が乾燥しやすくなります。
必須脂肪酸の種類にはオメガ6、オメガ3があり3:1程度で摂取するのが理想的ですが、現代では10:1程度までバランスが崩れているとも言われています。この不足しがちなオメガ3を積極的に摂る事で細胞の生まれ変わりをスムーズにし、乾燥肌の改善につながります。
スナック菓子や揚げ物を控え、魚中心の食事にする事でオメガ3の不足がかなり解消され3:1のバランスに近づきます。
皮膚の再生をサポートする「亜鉛」
<食材>牡蠣・高野豆腐・ココアなど
皮膚や髪などの合成をサポートし、新陳代謝を促します。お酒の飲みすぎで消費されやすく、加工食品に含まれる添加物によって吸収が妨げられますので、それらの摂りすぎにも注意しましょう。ビタミンCと一緒に摂ると吸収がよくなります。
皮膚を健康に保つ「ビタミンA」
<食材>レバー・卵・かぼちゃ・ほうれん草・人参など
細胞分裂を起こして角質層を作るのに必要なのがビタミンAです。βカロテンで摂取しても必要なだけ体内でビタミンA変換されます。脂溶性のビタミンですので、炒めたりして油と一緒に摂ると吸収が良くなります。
新陳代謝を高める「ビタミンB群」
<材料>ナッツ類・豚肉・納豆・バナナなど
細胞にエネルギーを供給し、ターンオーバーを正常に保つ働きがあります。不足するとターンオーバーが乱れて、ニキビや乾燥の原因になります。
栄養素の吸収を良くする「発酵食品」
<食材>味噌・納豆・麹など
食べた=摂れたではありません。腸内環境が悪く消化吸収力が低下した状態では、せっかく食べた栄養素もうまく体に取り込めません。
日頃から、発酵食品を積極的にとり腸内環境を整えましょう。悪玉菌を増やす原因となる加工食品を摂り過ぎないようにする事も大切です。
美肌は単一の栄養素にしてならず
食事で特に大切なのはバランスです。バランスの良い食事とは、体に必要な栄養素を十分に摂れる食事の事ですが、難しく考える必要はありません。おすすめは、主食+主菜+副菜を基本にし、旬の食材を使ったメニューです。さきほど上げた食品はこの中に組み入れていく事で、効率よく吸収・利用されます。
毎日の食事の選択の時に、是非参考にして頂き乾燥知らずの美肌を作っていってくださいね。
担当管理栄養士 : 篠塚明日香
<参考文献>
髙瀬聡子・細川モモ「いちばんわかるスキンケアの教科書」講談社(2014)
中村丁次「栄養の基本がわかる図解辞典」成美堂出版(2014)
上西一弘「栄養素の通になる第3版」女子栄養大学出版部(2012)