管理栄養士が伝える!陰陽のバランスを整えるための食選択
体内が冷えているのに冷える食べ物を、体内に熱があるのに温める食ベ物を選択していませんか?今回は、陰と陽から体内のバランスを考えていきましょう。
陰と陽のバランスが健康を保つ
中医学では、自然界に存在するいろいろなものごとを「陰と陽」の2つに分けて考えています。「陰と陽」の2つが、対立や依存しあう事で全体のバランスが保っています。
陽が持つ作用
<作用>
温める・上昇・発熱・発散など
<部位>
上半身・背中・胃・大腸・小腸・膀胱・胆など
<体内に陽が多いと現れる特徴>
尿・・・色が濃く・量が少ない
舌・・・色が赤い・黄色い苔
唾液・・・ベトベトしている など
陰が持つ作用
<作用>
冷やす・下降・悪寒・抑制など
<部位>
下半身・腹部・心・肝・脾・肺・腎など
<体内に陰が多いと現れる特徴>
尿・・・色が薄く・量が多い
舌・・・色が薄く・苔が白い
唾液や汗・・・サラサラしている など
体内の中で熱を感じる時は陽が多い状態。また、冷えを感じる時は陰が多い状態となります。この陰陽バランスが整っていると健康と言われていて、バランスが崩れる事により様々な不調が現れます。尿などが解りやすいので是非参考にして見て下さい。
体調に合わせて食材の性質を活かしましょう!!
食材にはそれぞれ性質があり「熱性・温性・平性・涼性・寒性」に分類されます。多少文献によって、分類が異なりますが、大まかに把握しておくと食材選びの際、役立ちます。
冬の寒い時期や体が冷えている時は、熱性や温性の食材を摂取して体を温めましょう。又、夏の暑い時期や体に熱が体内に溜まりやすい時期には、涼性や寒性の食材を摂取して、体内の陰陽のバランスを整えましょう。
「熱」 体を温める作用が強い
にんにく、唐辛子、胡椒、辛子、焼酎など
「温」 体を温めるが「熱」より穏やか
生姜、葱、南瓜、玉葱、にら、鶏肉、海老、酢、砂糖、味噌、紅茶、ワインなど
「平」 温める・冷やす作用がない
キャベツ、椎茸、人参、白菜、山芋、牛肉、豚肉、卵など
「涼」 体を冷やすが「寒」より穏やか
セロリ、大根、冬瓜、なす、たこ、わかめ、ウーロン茶、緑茶など
「寒」 体を冷やす作用が強い
胡瓜、ごぼう、苦瓜、蓮根、もやし、蟹、塩、醤油、ビールなど
※熱性や寒性の取りすぎには、人により刺激が強い場合もあるので注意してください。
調理法や食材の組み合わせで性質が変化する
ここでは、調理法と食材の組み合わせの2点から食材の性質をいかしていく考え方をお伝えします。
調理法による工夫
調理法により食材の持つ性質を強くする、又は柔らかくする事が出来ます。体が冷えているので、涼性・寒性の食材を食べてはいけない、という事ではなく、そのまま食べると更に体を冷やしてしまうので、スープなど加熱して食べると冷やす効果が弱まります。調理法により性質は変わっていきます。
組み合わせによる工夫
食材の組み合わせによって作用の変化が現れます。例えば刺身(涼性)にはワサビ(温性)がついていますよね?この組み合わせにより冷えを和らげる効果があります。
食べてはいけない食材はありません。温かい料理や冷たい料理、食材の性質を上手く組み合わせる事がポイントになります。
季節の野菜には、その時期に合った性質を持っている野菜が多いので、四季に合った食材を食べる事もおすすめです。
是非、ご自身の体調に合わせて陰陽バランスや食材の性質など意識してみて下さい。
担当管理栄養士 : 岩崎安希
<参考文献>
阪口珠未「毎日使える薬膳&漢方の食事辞典」ナツメ社(2013)
関口善太「これ1冊できちんとわかる東洋医学」マイナビ(2013)
王財源「わかりやすい臨床中医学診断学」医歯薬出版社(2003)
大倉あや子「薬膳講座資料」(2016)