“ちょっと高い”が要注意③ 脂質異常症を防ぐ食生活
健康診断でコレステロールや中性脂肪が高いと言われても、自覚症状や日常生活に支障が無ければ、いつのまにか放置していたという方も多いのではないのでしょうか。
今回はコレステロールや中性脂肪の改善に向けて、それぞれの食生活のポイントを紹介します。
脂質異常症とはどんなこと?
コレステロール、中性脂肪などは血液中の脂質と呼ばれるものです。その中でもコレステロールは「LDLコレステロール」と「HDLコレステロール」の2つがあります。体内での働きの違いから、LDLコレステロールは血管内に蓄積し動脈硬化の原因となるため悪玉コレステロールと呼ばれ、HDLコレステロールは余分なコレステロールを回収し肝臓に運ぶため善玉コレステロールと呼ばれています。脂質異常症とは、LDLコレステロールや中性脂肪が高い状態、またはHDLコレステロールが低い状態を指します。放置することで動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳梗塞などを引き起こす可能性があります。
脂質異常症は以下の3つに分けられます。
●高LDLコレステロール血症:LDLコレステロールが140mg/dl以上
●低HDLコレステロール血症:HDLコレステロールが40mg/dl未満
●高トリグリセライド(中性脂肪)血症:中性脂肪は150mg/dl以上
低HDLコレステロール血症は喫煙や運動不足が関係していると言われていますが、高LDLコレステロール血症と高トリグリセライド(中性脂肪)血症は食事での予防が大きく期待できます。
毎日の食事から予防しよう!
高LDLコレステロール血症を防ぐポイント
脂身の多い肉類、バターに含まれる飽和脂肪酸の摂り過ぎに気をつけましょう。食事で肉料理の頻度が多い方は肉料理よりも魚や大豆を使った料理の割合を増やすように心掛け、肉を選ぶ際には赤身の多い肉を選ぶのが良いでしょう。また、現代はコンビニで手軽に唐揚げやフライドチキンなどが気軽に買える環境であり、小腹が空いた時につい食べてしまうという方は要注意です。
間食で食べるケーキやクッキーなど洋菓子の材料であるバターや卵にも飽和脂肪酸は多く含まれています。LDLコレステロールが気になる方は、間食は洋菓子から果物に変えることがお勧めです。果物に含まれる水溶性食物繊維はLDLコレステロールの改善に効果があります。
高トリグリセライド(中性脂肪)血症を防ぐポイント
糖質の摂り過ぎにより中性脂肪が上昇します。お菓子、ジュース、アルコールの摂り過ぎはもちろん、食事パターンでは、「うどん+親子丼」、「ラーメン+チャーハン」というように炭水化物を多く含む料理を一度に重ねて食べるといった習慣があります。このような食事パターンの場合は、どちらか一品は炭水化物を多く含む料理から、食物繊維を多く含む野菜料理に変えることをお勧めします。なぜならば、食物繊維には中性脂肪の吸収を妨げる働きがあるからです。また青魚に含まれる油には中性脂肪値を下げる働きがあります。焼き魚、煮魚、お刺身、缶詰の活用など魚料理は様々あり、メインのおかずとして選ぶ頻度を増やしましょう。
これまで3回にわたり、主な生活習慣病である高血圧、糖尿病、脂質異常症を防ぐ食生活のポイントをお伝えしてきました。特別な食品や難しいテクニックは必要なく、「料理の組み合わせ」「食材選び」「食べ方」などちょっとの意識で取り組みを習慣化することが、いま、そして将来の健康を守ります。食事を楽しみながら、健康づくりに取り組んでいきましょう。
担当管理栄養士:佐々木裕子
参考文献
・日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス」(2014)
・中尾一和「Q&A生活習慣病の科学」京都大学学術出版会(2005)