子どもの好き嫌いのワケを知ろう ~お子さんの偏食に悩むパパママへ~
子どもの好き嫌いは、発達による味覚の変化や性格的な部分、心理面などが影響することをご存知でしょうか?ある日突然好きだったものを食べなくなる等不安になる方が多いと思いますが、理由が分かると楽になります。パパもママも、もちろん子どもも、食事が楽しくなるように知っておきたいことをまとめました。
味覚は年齢や経験とともに発達します
離乳期(0~1歳頃)一生の味覚の根っこを作る時期です
甘味・うま味は本来好きな味で、酸味(腐敗を意味する)や苦み(毒物を意味する)は本能的に嫌うように出来ています。年齢や発達に合わせて少しずつ経験していくことで食べられるようになります。塩味(体のバランスを整える)は、受け入れられやすい味ですが、天然の食品中にある塩化ナトリウムだけで足りることが分かっているので、薄味を心がけましょう。濃い味を好むかどうかは、この時期に決まります。出汁(野菜スープ、鶏スープ、昆布とかつお等)をきかせるのが、薄味のコツです。
幼児期前半(1~3歳頃):嫌いなものがあって当然の時期です
生理的に未発達なため、まだまだ食べられないものが多いです。これから先、色々な食品に触れることで受け入れられるようになるので、「まだ食べられるようになっていないな」と楽に考えましょう。
食べにくいものの例は、硬いもの(きんぴらゴボウ等)、パサパサするもの(生野菜サラダ等)、酸っぱいもの(ピクルス、酢の物等)、匂いの強いもの(ピーマンの肉詰め等)、骨付きの魚等。食べやすく調理するのがポイントです。
幼児期後半(3~5歳頃):噛む力が完成し、味覚の幅が広がる時期です
3~4歳頃になると、子どもの記憶力が確立するので、好き嫌いがはっきりしてきます。この時期に好き嫌いが出てくる主な理由は、以下の2点です。
①噛む力が十分についていないこと
②食べる機会が少なかったこと
かむ力が十分ではないと、生野菜や肉が噛めず「食べにくい、嫌い」とイメージがついて、ますます嫌いになってしまいます。その子に合わせて柔らかくする、なめらかにする等、引き続き、調理の仕方を工夫してみましょう。
色々な物が食べられるようになってくるのもこの時期です。食べにくい物も口の中で上手にまとめ、噛めるようになるので、色々な味に挑戦してみると、受け入れられる食品や味がどんどん広がっていきます。
食べる機会が少ない理由は、以下の3点です。
①大きすぎたり硬すぎる
②おうちの人が嫌いで食卓に出ない
③料理の品数が少ない
そのまま体験する機会がないと、後々食わず嫌いになります。子どもが嫌いな物でも、例え食べなくても、とりあえず10回は食卓に出してみて手を付ける機会を待ってみましょう。子どもにとって、「見たことがある、食べたことがある」ものは大きな自信になります。
好き嫌いは性格や年齢で変わる
好き嫌いは、子どもの心の動きや性格、脳の発達度合(年齢)とも深く関わっています。例えば、性格的に繊細だったり、警戒心が強い子は、新しい味、食品に対して抵抗感が強く、色々な食品に触れる機会が少なくなりがちです。また口腔内も敏感であったり、少しでも固いもの、食べづらい物があると受け付けにくくなります。
幼少期の子どもの性格は持って生まれたものが大きいので、親御さんは大変ですが、スモールステップで根気よく食の幅を広げていくと、意欲や好奇心も同時に発達していきます。長い目で考えて、あまり思い詰めないことが大切です。
食べにくいものを食べやすくするポイント
最後に、食事づくりが楽になる調理器具と調理のポイントをご紹介します。
お役立ち調理器具
●圧力鍋
短時間で柔らかくするのに便利です。圧力鍋は小型でかさばらないものも出ているので、ご自分に合うものを見つけて下さいね。
●ハンドミキサー
食べにくいものは大人と同じ食事に少量の水分を足してミキサーすると、食べやすくなります(写真参照)。
調理の工夫
●酸っぱいもの
甘味+酸味で食べやすい味になります。
?例:果物、酢とみりんを合わせて煮切る
●匂いの強いもの
トマト味、少量のカレー粉と相性が良い
?例:鯖のトマト煮、カレーパン粉焼き
いかがでしたか?我が家も日々奮闘中です。ご家族みんなが楽しく食卓を囲むヒントになれば幸いです。
担当管理栄養士:大竹友里恵
参考文献
・徳田克己「気になる子の偏食」株式会社チャイルド本社(2014)
・二木武「食事で子供を変える本」世界文化社(1994)
・高倉めぐみ「コミュニケーション障害学」 24,129-137(2007)
・胃瘻からミキサー食のすすめ,神奈川県立こども医療センター NST「ミキサー食注入プロジェクト」,http://kcmc.kanagawa-pho.jp/department/files/mixer1403.pdf(2017,12,5閲覧)