管理栄養士が教える妊娠に近づく効果的な栄養素とは?
前回までは妊娠に近づく体づくりとして、適正体重、貧血の重要性をお話しいたしました。今回は、もう少し細かい栄養素について書きたいと思います。
より妊娠に近づく体になるには
適正体重であること。貧血改善すること。
この2点を意識すれば、だいぶ妊娠に近づく体に向かってきます。それでも更に近づくために効果がある栄養素には、どんなものがあるのでしょうか?あえて挙げるとしたら、次の3つです。
●ビタミンD
ビタミンDはカルシウムや骨の代謝に不可欠なビタミンとして有名でしたが、近年様々な研究により免疫力をアップ、妊娠に関与することがわかってきました。妊娠に関する内容は下記の通りです。
・ビタミンDの受容体が子宮、卵巣、胎盤に存在し、子宮内膜の環境を整え、着床に必要
・ビタミンDは習慣流産のリスクを下げる
【ビタミンDを多く含む食材】
干し椎茸、紅サケ、イワシ、サンマ、しらす干し等
また、ビタミンDは皮膚表面にあるコレステロールが紫外線を浴びることで体内でつくられるため、適度に日光に当たることもおすすめします。
●亜鉛
亜鉛は生殖機能に関連が深い栄養素です。男性が摂るべき栄養素と思われがちですが、女性ホルモンの作用を高める働きもあるので、妊娠を望む女性も是非摂っていただきたい栄養素です。
【亜鉛を多く含む食材】
カキ、牛肉、レバー類、アサリ、ナッツ類等
比較的、動物性たんぱく質には亜鉛が含まれているのですが、残念ながら加工食品になると亜鉛の含有量が低くなります。毎日の食事をレトルト食品や冷凍食品で済ませている人は亜鉛を、ほとんどとっていないと考えていいでしょう。また、体にいいからと野菜ばかり食べている方も注意です。
●コレステロール
コレステロールと聞いて悪いイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?コレステロール値が高いのは良くないことは、ご存じの方も多いと思いますが、低過ぎるのも良くありません。女性ホルモンも男性ホルモンも、コレステロールが変化してつくられます。ですので、コレステロールが不足すれば、その分つくられる性ホルモンも減ってしまうのです。
【コレステロールを多く含む食材】
卵黄、ウナギ、イカ等
脂質の一種であるコレステロールは、血液中で、たんぱく質でコーディングすることで体内を移動しています。肉や魚、卵などのたんぱく質をしっかりとることもコレステロールを効果的にするポイントになります。
妊娠に近づく体になる食事とは?
おさらいです。何度も書いてきましたが、妊娠に近づく体になる食事とは「低糖質・高たんぱく質な食事」になります。今回挙げた3つの栄養素も、前回挙げた鉄も、糖質ではなく、たんぱく質に含まれるものがほとんどです。肉や魚、卵を食べると太ってしまうのではと考える方もおられますが、それは違います。たんぱく質、特に動物性たんぱく質は筋肉、臓器、血液といった私たちの体の一部になります。
食事の選び方としては、糖質の割合が多い食事ではなく、たんぱく質がしっかり入った食事にしましょう。1回の食事のたんぱく質量の目安は、握りこぶしひとつ分と覚えておくといいでしょう。また、汁物、和え物といった副菜にも、たんぱく質を加えましょう。間食は摂らないに越したことはないですが、食べるとしたら糖質の低いものにしましょう。
妊娠することがゴールではない
いかがでしたか?食習慣、食べ物の好き嫌いなどで思い当たったことはありましたか?
「この食材に含まれる栄養素は体にとってどんな効果がある」と知っていれば普段の食事に対する意識が変わると思います。
そして最後に一番大切なこととして「妊娠することがゴールではない」ことを忘れないでください。
お腹のなかで赤ちゃんをはぐぐみ、出産し、育てていく…そして自らも元気に生きていく。妊活のための食事ではなく、元気なおかあさん、おばあちゃんになることをゴールに、毎日の食事を楽しくとっていきましょう。
担当管理栄養士:白井由紀
<白井先生の食事カウンセリング>
参考文献
古賀文敏・定真理子「卵子の老化に負けない妊娠体質に変わる栄養セラピー」青春出版社(2017)