スポーツと糖質の関係・必要な理由・摂取のタイミングとは?
スポーツのパフォーマンスや健康の維持・増進に深く関わり、生命を維持するために必要不可欠なエネルギー源である糖質についてです。
炭水化物と表現することがありますが、炭水化物には糖質と食物繊維の両方が含まれます。食物繊維は体内に吸収されず、エネルギー源とならないため、エネルギー源としての炭水化物は糖質と考えます。
アスリートのエネルギー源である糖質
エネルギー源として使われる栄養素には、糖質のほかに脂質もあります。場合によってはたんぱく質が使われることがありますが、アスリートのエネルギー源の中心は糖質と脂質であると表現しても過言ではないでしょう。
糖質の強みとは?
糖質の強みとは速効性のあるエネルギー源です。糖質は、体内での消化・吸収という複雑なプロセスにおいて、早い段階からエネルギー源として使えることが特徴です。脂質やたんぱく質は消化に時間がかかる栄養素である一方、糖質は速効性があるため、競技中にスタミナを切らさないためには必要不可欠な栄養素です。
糖質を効率良く摂取するためには?
糖質をいかに効率よく摂取するか、摂取の目安や効率の良いタイミングについて考えてみましょう。
糖質の摂取目安量
糖質は1日のエネルギー摂取量の約60%を占めています。
身体に吸収され代謝すると、グリコーゲンとして肝臓と筋肉に貯蔵されます。しかし、その貯蔵量は肝臓に約100g、筋肉に約250gと限界があるため、過剰に摂取した糖質がグリコーゲンをして貯蔵されない場合は、脂肪組織で中性脂肪に変換されて蓄えられます。
そこで糖質の摂取目安量は、1日体重1kgあたり7g程度以上、エネルギー総摂取量の55~60%程度が理想とされています。例えば、体重50㎏の選手であったら、1日の摂取目安量は350gとなり、1食当たりで換算すると約117gとなります。糖質を多く含む食品は、ご飯、パン、麺類などの穀類、いも類、果物になります。
糖質を効果的に摂取するタイミングとは?
糖質は、消化・吸収が良い栄養素のためすぐにエネルギーになるという特徴があります。効果的に摂取するタイミングは運動後、とくに運動直後と言われています。練習終了後、自宅に帰るまでの時間が長い選手はおにぎり、補食としてカステラ、果物などを摂取しておきましょう。
このとき摂取すべき糖質の量は、体重1㎏あたり0.7~1g程度となります。体重50㎏の選手が運動直後に食べる目安の量としては、35~50gの糖質となります。おにぎりでしたら茶碗1杯分、カステラでしたら1~2切れ程度を目安に摂取できると望ましいでしょう。
帰宅後には、糖質を含めて、タンパク質などバランスよい食事で栄養素を補給し、早い疲労回復を促していきましょう。
担当栄養士:Eriko
参考文献
・柳沢香絵「アスリートのためのスポーツ栄養学 栄養の基本と食事計画」株式会社学研パブリッシング(2015)
・鈴木志保子「スポーツ栄養学」株式会社ベースボール・マガジン社(2016)
・寺田新「スポーツ栄養学」科学の基礎から「なぜ?」にこたえる 一般財団法人 東京大学出版会(2017)