料理の基本「加熱調理」を知ろう!?“焼く”を極める?
私たちは料理をする際に食材を加熱します。地球上で加熱調理をしている生物は私たち人間だけです。
人類史においても火の発見と人類の発展は大きく関係しており、火を使いこなすことで様々な調理技法が生まれ、人間が口にするものが大きく変化していきました。
それだけ料理において加熱調理という技法はとても重要な存在なのです。
これから3回に分けて加熱調理の特徴について書いていきます。第1回目の今回は「加熱調理の種類」、そして一番初めに生まれた加熱法である「焼く」という調理法について学んでいきましょう。
加熱調理は「水を使うか否か」で大別される
加熱調理を大きく分けると、水を使う湿式(しっしき)加熱と水を使わない乾式(かんしき)加熱の2つに大別されます。
湿式加熱は水や水蒸気によって熱が伝わる加熱方法で、具体的には「煮る」・「蒸す」といった調理法があります。加熱温度は基本的には100℃までですが、圧力鍋を用いた場合は120℃位になります。
それに対して乾式加熱は水などを使用せずに熱が伝わる加熱方法で、具体的には「焼く」・「炒める」・「揚げる」といった調理法があります。加熱温度は湿式加熱よりも高く100℃を超えます。
このように加熱調理は熱を伝えるのが水なのか、それとも水以外のものなのかによって加熱温度が異なり、さらにその中でも色々な調理法があります。
「焼く」とは最もシンプルで原始的な調理法
湿式加熱のひとつである「焼く」とは高温の熱で食材を加熱する調理法で、直接火にかざして焼く直火焼きと、熱したフライパンや鉄板の上などで食材を焼く間接焼き、オーブン内の加熱された空気で食材を焼くオーブン焼きに分けられます。一般的に家庭ではフライパン等を使用した間接焼きで「焼く」という調理を行なっています。
「焼く」という調理法で得られるメリットは、焼き色がつくことで食欲をそそる香りが発生する、食材の表面を焼くことで旨味成分を閉じ込めることができる、食材の水分が蒸発することで味が濃縮されるといった点です。
実習編?「焼く」という調理法をした料理を味わってみよう?
「焼く」という調理法がわかったところで、今回は焼くことで得られるメリットを感じることが出来る野菜のグリルをご紹介します。このレシピはフライパンを使用していますので間接焼きの方法で食材を加熱します。
また、明日から3月と春も近づいていますので麹の甘みがきいた甘酒味噌をグリル野菜に添えています。
材料(2人分)
・お好きな野菜
※ミニアスパラ6本、ヤングコーン2本、プチトマト1個、エリンギ1/2本、
レンコン1/4本、黄色パプリカ1/4個、タラの芽6個を今回使用しました。
・油 ・・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
・白味噌 ・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
・甘酒ストレート(砂糖不使用) ・・・・大さじ2
作り方
①熱したフライパンに油を入れ、切った野菜を並べて入れます。
②中火で両面こんがりと焼き、お皿に盛りつけます。
③白味噌と甘酒を混ぜ合わせて②に添えたら完成です。
「焼く」という調理法で加熱した食材の味はいかがでしょうか?
食材の旨味が濃縮されていて甘酒味噌をつけなくても美味しく頂けるのではないでしょうか?
今回は普段料理をする際に何気なく行なっている加熱調理の種類、そして「焼く」という調理法についてご紹介致しました。「焼く」とは最もシンプルな調理法ですので、この調理法で得られるメリットを踏まえて調理を行うことでより一層美味しい料理を作ることが出来ます。
次回は「焼く」以外の湿式加熱である「炒める」・「揚げる」という調理法についてご紹介致します。
担当管理栄養士:河村桃子
参考文献
リチャード・ランガム「火の賜物—ヒトは料理で進化した」NTT出版(2010)
大谷貴美子・松井元子「基礎調理学」講談社(2017)