いつまでも味わって食べよう!味覚を守る食生活
2003年の全国調査では味覚障害の患者数で24万人でしたが、年々増加傾向にあると言われています。日常的に「美味しく味わうこと」「食事を楽しむこと」を大切にしている方は多いのではないでしょうか。
おいしく味わうために食生活から味覚を守るポイントをお伝えします。
味覚の仕組み
5つの基本の味と味覚の仕組み
味には「匂い」、「見た目」、「音」、「温度」や「食感」なども関係しています。
身体の器官として味を感じる多くの部分は舌の上にある味蕾(みらい)です。噛む動きにより、食物から唾液に溶けだした物質が、味蕾の中にある味細胞を刺激し、脳にある味覚の分野に伝わることで味を感じます。この味蕾は舌以外にも上顎や喉にも存在しています。
味覚には、「塩味」、「酸味」、「甘味」、「苦味」、「うま味」があり、これらの基本味は5原味と呼ばれることがあります。以前は舌の場所によって感じる味が違うという説がありましたが、現在は舌のどの部分でも5原味を感知することができると言われています。
味覚は「食欲への刺激」「危険な食べ物を避ける」「唾液分泌」「消化の促進」「身体に必要な食べ物を選ぶことの手助け」というような、生命を維持するうえでも重要な役割も持っています。
おいしく味わうために味覚障害を防ぐ食事ポイント
味覚障害の症状と原因
味覚障害の症状では単純に味が分からなくなる、何も食べていないのに特定の味が持続する、食べ物の本来の味と異なった味がする、口の中の一部分では味を感じないというような様々な症状があり、おいしいと感じることができなくなってしまいます。原因には、偏った食事や薬剤による亜鉛不足、口腔内やその他の病気によるもの、ストレスによるものがあります。心当たりのある方は、早めに受診しましょう。
普段の食生活から防ぐ亜鉛不足
味蕾の新陳代謝に関わるのが亜鉛です。極端なダイエットや忙しくて食事量が不足している、食事バランスに偏りがある方、インスタント食品やファーストフードを食べる機会が多い方は要注意です。
ナッツ類は亜鉛を多く含んでいます。気になる方は普段のおやつをナッツ類に代えることも手軽な方法の一つですが、まずは食事バランスの方偏りを見直しましょう。
1日の1食は主食(米・パン・麺の料理)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品の料理)、副菜(野菜、きのこ、海藻類の料理)を揃えて食べましょう。
食事以外ではお酒も亜鉛不足に関係します。アルコールの代謝に関わる酵素が亜鉛を吸収するために不足してしまうことがあります。お酒は、ほどほどに楽しいと感じる量におさめるのは良いでしょう。
特に4月は新生活や環境が変わりやすくストレスを感じやすい時期です。おいしく味わうことが気持ちをリラックスさせることもあります。毎日の食事を少し気に掛けてみてくださいね。
担当管理栄養士:佐々木裕子
参考文献
・伏木亨「味覚と嗜好のサイエンス」丸善株式会社(2008)
・中村丁次「見てわかる!栄養の図解辞典」PHP研究所(2008)
・山野善正「ポケット図解 おいしさの科学がよくわかる本」(2009)
・口腔内のトラブル,日本口腔外科学会,
https://www.jsoms.or.jp/public/Soudan/kouku/mikakusyougai/(2018.4.2閲覧)