料理の基本「加熱調理」を知ろう!“揚げ・炒め”を極める
5月に入り過ごしやすい季節になりましたね。新年度がスタートして早くも1ヶ月が経ち、新年度を機に新しい生活とともに自炊を始めた方も多いのではないでしょうか?
さて、前回のコラムでは加熱調理の種類と乾式加熱法の1つである「焼く」という調理法について学びましたが、今回は残りの乾式加熱法である「揚げる」と「炒める」について学んでいきましょう。今回も最後に実習編としてそれぞれの調理法の簡単なレシピをご紹介しています。
「揚げる」とは食材の中の水分を油に交代させること
「揚げる」という調理法は高温の油の中で食材を加熱する調理法で、鍋の中で油の熱が対流することで食材が加熱されます。100℃以上の大量の油の中に食材を入れることにより短時間で加熱調理が行えます。
「揚げる」には食材をそのまま揚げる素揚げや、小麦粉や片栗粉などの粉をつけて揚げる唐揚げ、衣をつけて揚げる天ぷらやフライなどの種類があり、根菜などの火が通りにくい食材は150?160℃の低温で、コロッケや天ぷら・とんかつなどは170℃前後の中温で、海老などの火が通りやすい食材は190?200℃の高温で調理します。また、低温で加熱した後に高温で短時間加熱するといった二度揚げの方法もあります。
揚げることのメリットとしては、独特のサクッとした食感が得られる、食材に油の香味が加わる、加熱時間が短時間であるため比較的ビタミンの損失が少ないことが挙げられます。
特に独特のサクッサクの食感は、高温の油で加熱することで食材の中に含まれる水分が油に交代することで得られます。
熱した油の中に食材を入れると気泡がシュワシュワと出てきますが、これは食材の中の水が油と交代されている現象なのです。
「炒める」の極意は“食材の切り方”と“段取り”
「炒める」という調理法は熱した鍋やフライパンの熱と少量の油の熱により食材を加熱する調理法で、食材をかき混ぜながら加熱するという点が「焼く」調理法と異なります。
炒めることのメリットとしては、独特のシャキシャキの食感が得られる、野菜においては軟らかくなり食べやすくなる、緑色の野菜は炒めることで色鮮やかに仕上がる、調理中に味付けを行うことができることが挙げられます。
炒め物をおいしく作るポイントは食材の切り方と大きさをそろえることです。切り方と大きさをそろえ、火が通りにくい食材から炒めることで均一に加熱することができ、また見た目も綺麗に仕上がります。
さらに炒め物は段取りが命です。調味料はあらかじめ準備しておく、炒め終わったらすぐに食器に盛り付けるなど、加熱し過ぎ(オーバークック)にならないようにすることが重要です。
実習編 ?「揚げる」と「炒める」で調理してみよう!?
それでは「揚げる」と「炒める」を理解したところで、ここからは実習編です。
同じ食材を使用して「揚げる」と「炒める」の加熱調理をしてみましょう!
「揚げる」?サクッサク新じゃがフライ?
材料
・新じゃがいも 1個
・薄力粉 大さじ1
・片栗粉 大さじ1
・グレープシードオイル(揚げ油) 適量
・塩 適量
① 新じゃがいもは皮付きのまま0.5㎝位の拍子木切りにし、水に1時間程さらします。
② ①の水をよく切り薄力粉と片栗粉を合わせたもの全体によくまぶし150℃の低温の油で4分揚げます。
※揚げ油はサラダ油、オリーブオイルでも代用可
③ ②を一旦取り出し、油の温度を200℃の高温にして3分揚げよく油を切り、塩をまぶしたら完成です。
「炒める」?シャキシャキ新じゃが炒め?
材料
・新じゃがいも 1個
・人参 1/2本
・ピーマン 1個
・ごま油 大さじ1
・塩、こしょう 適量
① 皮をむいた新じゃがいも、人参、ピーマンを太めの千切りにします。
② フライパンにごま油を入れ新じゃがいも、人参、ピーマンの順に中火で炒めます。
③ 新じゃがいもが白く透き通ってきたら塩・こしょうで味付けし、お皿に盛り付けたら完成です。
今回は旬の新じゃがいもを使用してそれぞれの加熱法で調理をしてみました。同じ食材でも「揚げる」はサクッサクに、「炒める」はシャキシャキに仕上がっています。作って食べてみることでそれぞれの特徴がさらに理解できますので是非お試し下さい。
次回は水を使う湿式加熱法の「蒸す」「煮る」について解説します。
担当管理栄養士:河村桃子
参考文献
・佐藤秀美「おいしさをつくる「熱」の科学 料理の加熱の「なぜ?」に答えるQ&A」柴田書店(2008)
・大谷貴美子・松井元子「基礎調理学」講談社(2017)