管理栄養士がおすすめする、生姜で夏の冷え回避する方法
5月に入り、ますます暑くなってきました。梅雨の時期に入れば、じめじめと湿気があり、なんだかダル重い日が続きます。
夏が来てから意外と困るのが、職場や電車でのクーラーの寒さです。痩せている、胃腸が弱い、疲労が溜まっている、もともと冷え性で悩んでいる方は、屋外では半袖で良くても、室内に入ると上着がないと足元から冷え切ってしまうということに心当たりはないでしょうか?
今回は、そんな夏におススメの生姜の食べ方についてお話したいと思います。
生姜は生と乾燥で効果が違います
生姜といえば身体を温める食材の代表的なものとして挙げられます。この生姜、実は生で食べるのと乾燥した状態で食べるのとでは、身体の温め方が違うのです。
生の生姜の身体の温め方
生姜に含まれるジンゲロールという成分は、血流を促進して身体の深部の熱を手足の先に送り出して身体の表面を温める効果があります。そのため、深部の熱を体外に排出してしまうため、継続して生の生姜を摂り続けると結果的に身体を冷やしてしまうのです。
薬膳でも「発汗解表」という表現であらわされ、発汗することで身体の表面にいる邪気(寒邪)を体外に追い出して熱を下げる効果があるとされています。食べると汗が出るように「パァ~」と温かくなります。
乾燥生姜の身体の温め方
生の生姜に含まれるジンゲロールは、熱を加えるとショウガオールという物質に代わります。これはCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質を胃腸付近に生産して、心臓からの血液量を増やして腹部の血行をよくするため、身体の芯から温める効果があるのです。
薬膳では「温中散寒・回陽通脈」という表現であらわされ、胃腸を温め邪気(寒邪)を散らす、陽気を全身に巡らせる効果があるとされています。食べると身体の中から「ジワジワ」と温かくなります。
慢性的な冷えへおススメの摂り方
最近では乾燥や粉末になった生姜が売っていて、簡単に手に入れることができますが、生姜を薄くスライスして電子レンジで加熱したり、天日干しすることによってショウガオールを作り出すことができます。オススメの摂り方は、身体を温める効果のある紅茶に入れること、さらに黒糖やシナモンを入れると身体を温める効果が高まります。普段から飲み物などに入れると、簡単に継続して取り入れることができます。
夏といえば暑さ対策に目が行ってしまいますが、日ごろから冷えが気になる方は今のうちから身体を温めておくことをお勧めします。冷えやすい体質でも、食べ物の力で体質は変えることができます。身体を温めることで血行もよくなり、冷え性の他に生理痛や消化不良の改善などの効果も期待できます。
担当管理栄養士:Tomoyo
参考文献
日本中医食養学会「現代の食卓に生かす食物性味表」株式会社平河工業社(2009)
伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)
石原結實「生姜力」主婦と生活社(2010)