中医学からみる!老けない身体をつくるエイジングケアのコツ
鏡を見て、「あれ?最近疲れたせいか、顔がやつれてきた気がする…」そんなことを感じた覚えはありませんか?『いつまでも若々しくいたい』と思っていても、なかなか歳には逆らえず、日々の疲れやストレスも加勢して、見た目や体調の変化を見過ごしていませんか?
中医学の考えでは、気の不足や消化吸収を司る脾の弱まりにより、皮膚のたるみや内臓下垂などが起こると考えられています。また、血の不足が白髪や抜け毛に繋がると考えられています。様々な体調の変化は、見た目にも影響してきます。
今回は中医学で考えるエイジングケアのコツを紹介します。
唾液は腎精がカタチを変えたもの?
中医学で老化に関わる臓器は“腎”といわれています。腎には“腎精”が蓄えられていて、人間の生命活動のエネルギー源であるとともに成長や生殖活動の維持を担っています。この“腎精”の姿を変えたものが“唾液”といわれ、吐き出さず飲み込めば、腎精を滋養できると考えられています。
これは現代医学でも説明することができ、唾液に含まれる“パロチン”というホルモンは、筋肉や内臓、骨などの発育を促進する働きがあり、若返りホルモンとも呼ばれています。食事中よく噛んで食べることで、唾液の分泌量が増えます。また、ガムなどを普段噛むのも唾液の分泌を増やします。噛むことは、顔全体の筋肉を動かすため、リフトアップや認知症の予防にもなります。
女性には赤と黒の食材
気血を補う赤い食材
薬膳と聞いて浮かぶ食材の代表でもあるクコの実やナツメは、そのまま食べられる手軽さを持つ、ぜひ食べてほしい食材です。
ナツメは、「1日3個のナツメを食べれば歳をとっても老いが現れない」と中国では言われており気を補うほか、血を養い心を落ち着かせる効果を持っています。
クコの実は、「不老長寿の妙薬」といわれ、古くから中国でも家庭で良く食べられていた食品で、生命を司る腎と血を作る肝をサポートする食材です。
最近では乾燥ナツメや揚げたナツメがお菓子のように売られ、手に入れやすくなりました。クコの実も中華食材や製菓売り場によくみられ、そのままでも和え物や炒め物など入れても美味しくいただけます。
腎をサポートする黒い食材
腎をサポートする食材は黒色の食材に多く含まれます。黒キクラゲ、黒ゴマ、黒米、黒豆の他、ほうれん草、牛肉、レバー、海老、クルミなどがあります。これらの食材は、腎をサポートする以外に血を補う効果もあります。
ココロとカラダは繋がっている
五行論というものがあり、臓器や季節、味や感情など色んなことを5つに分ける考え方で、それぞれは互いに影響をしあっていると考えられています。
たとえば、気の巡りをコントロールしている肝はストレスの影響を受けやすく、肝の働きが悪くなると怒りやすくなったり、反対に気分が落ち込んだままになります。そして脾の働きに影響を与え、食欲不振や消化不良に繋がります。このように、感情の負荷は身体の機能に影響します。
そのため、日々できるストレス解消の方法を自分なりに習慣づけるとよいでしょう。散歩をする、おいしいものを食べる、笑う、ストレッチをするなど、自分なりの気分転換の方法を身に付けておくと、感情による体調のアップダウンを防ぎます。
私たちの身体はあらゆるものに影響されています。食事・睡眠・運動など大事だとわかっていても毎日意識することは大変です。しかし、そのままにしておくと体調も見た目も自分の理想としているものからほど遠くなってしまいます。ちょっとした毎日の積み重ねが、10年後の自分を作っていると意識してみてください。
担当管理栄養士:Tomoyo
参考文献
日本中医食養学会「現代の食卓に生かす食物性味表」株式会社平河工業社(2009)
伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)