あなたの検査値はどうですか?検査値で見る生活習慣改善法③
シリーズで見ている検査値で見る生活習慣改善法。
今回は、今話題の糖尿病の検査値についてお伝えします。ただ血糖値が高かったではなく、その根本を知ることがこのシリーズの目的の一つでもあります。
*生活習慣病以外の病気や薬の影響でも検査値には影響が出てくることがあります。
糖代謝の検査値が高いとどうなるか
血糖値が高くなるような食事は、夕食の過食、アルコールの大量摂取、清涼飲料水の摂取、穀類主体の食事、野菜不足、間食・甘いものの摂りすぎなどが挙げられます。こういった食事は、肥満・高血圧・高血糖を招き、悪化していくと心筋梗塞・脳梗塞・腎機能の悪化、神経系の悪化、認知症などを引き起こす可能性が高くなります。
空腹時血糖値(FBS) 基準値:70~110mg/dl未満
血糖値はその名の通り、血に糖が付く値の事を言います。
炭水化物は糖質と食物繊維に分けられますが、その糖質に反応して上がります。糖質は主に、ご飯・パン・麺・シリアル・芋類・砂糖類などに多く含まれます。上記のような血糖値が高くなるような食事が多い場合は、血糖値が上昇しやすい状況と言えます。
また、運動不足、夕食の過食、食べてすぐ寝てしまう場合などは、糖質の消費が起こりにくいので、血糖値がずっと上がっている状態になります。さらに、清涼飲料水のような液体、早食いは一気に血糖値を上げるので、すぐに基準値を超えてしまいます。過剰な糖は脂肪になりますので、肥満を助長してしまい、注意が必要です。
HbA1c 基準値:4.7~6.2%
HbA1cとは、赤血球に存在するヘモグロビンと糖が結合したものです。血糖値が高くなると、その分、ヘモグロビンと結合しやすくなるので、値が上昇します。赤血球の寿命は約120日間なので、このHbA1cは約1~2ヶ月前の血糖状態を反映する基準値となります。
検査時、空腹時血糖は前日から食べないようにすれば検査結果は下がります。しかし、HbA1cは1日食事を抜いただけでは下がらないので、普段から沢山食べているかどうかすぐに分かります。
血糖値改善の3大ポイント
血糖値を改善することによって、自然とHbA1cの値も下がってきます。次の3つを意識してみましょう。
①食物繊維の摂取
野菜・きのこ・海藻類・果物などに含まれる食物繊維の摂取をすることによって、糖の吸収を抑制する効果があります。最低でも1食あたり片手分の野菜類などが食べられると、ある程度の食物繊維が摂取できます。
朝食や間食で果物を摂ったり、小包装の海藻類なども利用しやすいです。冷凍の緑黄色野菜もあるので、食卓の彩りを意識してみるといいでしょう。食物繊維を摂ろうとするだけで他のビタミン、ミネラルも摂取できるので、自然と食事・栄養のバランスも良くなってきます。
②食べる順番
主食より先にたんぱく質源・油類・野菜類の摂取をすると、後から入ってくる糖質の吸収を穏やかにする効果があります。つまり、血糖値の上昇を緩やかにします。すきっ腹にお酒を飲むとすぐ酔ってしまうのと同様で、先に糖質を食べるとすぐに血糖値が上がります。一度上がりきってしまった血糖値は、後から野菜などをとってもすぐには下がりません。先に血糖値をなるべく上げないというのがポイントになります。
③ゆっくりよくかんで食べる
ゆっくり良くかむ事によって満腹中枢を刺激し、食欲の抑制にも繋がります。早食いすることによって、急激に血糖値が上がります。急に上がるので、血糖値を下げるインスリンの分泌が間に合わず、高血糖状態が続いてしまいます。そして大量のインスリンも出さなければならなくなるので、早食いが続くと、いずれインスリンの効きが悪くなったり、インスリンが出にくくなってきてしまうのです。
ゆっくり食べる事によっても今後の体に大きな差が生まれてきます。
いかがでしたでしょうか。この時期は暴飲暴食したり、また、夏バテで食べれなくなったりと、食事のバランスも崩れがちになります。それでも、食べる順番だけは守ったり、ゆっくり食べるようにしたりなど、出来ることから始めてみるだけでも、身体の負担を和らげてくれます。
自分の検査値がどうかを知るだけで、今後の対応が変わっていくきっかけとなればと思い、検査値についてシリーズ化してきました。自分の身体は自分で守っていける力を少しでも付けていけると、生活習慣もきっと変わっていくと思います。
担当管理栄養士:大嶋浩俊
参考文献
足立香代子,検査値に基づいた栄養指導,チーム医療(2009)
谷口英喜,「実践 クリニカルニュートリッション 全身状態からみる栄養管理」日本医療企画,(2017)