「目にブルーベリーが良い」は本当?目の不調は食事で改善
10月10日は目の愛護デー。今回は3回に渡って、目と栄養・食事の関係をお伝えします。
現代の私たちは、パソコン、スマートフォンの普及で目を酷使する時間が多くなっています。近視や老眼、疲れ目を感じる方もおられると思います。「歳だから仕方がない」と考えていませんか?毎日の食事で、そんな目の不調の進行を抑えることができます。
目にはブルーベリーって聞くけれど本当?
「目にはブルーベリーが良い」。
誰もが一度は聞いたことが、あるのではないでしょうか?確かにブルーベリーに含まれるアントシアニン(ポリフェノールの一種)は目に有効です。アントシアニンとはブルーベリーの紫色の色素で、ロドプシンの再合成を助ける効能があります。
ロドプシンとは、目の網膜にある紫色の色素です。私たちは、網膜のロドプシンに光が当たることによって生じる信号が脳に送られ「見える」と認識されます。
ロドプシンは、光に当たることにより、ビタミンAに分解され、再びロドプシンに再合成されますが、長時間、目を使い過ぎると再合成が間に合わず、ロドプシンは減少していきます。ブルーベリーに含まれるアントシアニンには、そのロドプシンの再合成を促進する作用があるので「目にはブルーベリーが良い」のは、こういう理由からきているのです。
ブルーベリーの食べ方は?
そのままが、おすすめです。もともとブルーベリーは、欧米では薬草として、果実だけでなく葉もあわせて用いられていました。一方、日本では、ジャムや飴、ドライフルーツなどに加工して食べることが多くなっています。いくら目に効果があるといっても、そういったものを大量に食べれば、糖分過剰になってしまいます。
ブルーベリーの摂取目安量は1日30g前後。大きめのブルーベリーで25粒。茶碗に1杯程度になります。
「ブルーベリーを毎日、茶碗1杯食べる」
これは現実を考えるといかがでしょうか?もう少し現実的な食事の摂り方があります。それはビタミンAを摂ることです。
ブルーベリーを食べるより現実的な食事とは?
網膜のロドプシンは食べ物から摂取したビタミンAが体内で変化した物質です。ですからビタミンAを日頃から摂取することをおすすめします。
ビタミンAは、主に動物性食品に含まれ、目の他にも皮膚や成長に関わる脂溶性ビタミンです。ビタミンAが多く含まれる食材は、レバー、卵(卵黄)、牛乳等です。また緑黄色野菜に含まれるカロテノイドは、体内でビタミンAを生成します。
ビタミンAにおける、18歳以上の成人男性のビタミンAの推定必要量は500~650μgRAE/日、18歳以上の成人女性は450~500μgRAE/日。日頃から、肉類(本来ならばレバーが良いですが、肉類にも少なからずビタミンAが含まれています)、卵、乳製品、緑黄色野菜を取り入れて食事をしていれば足りる数値です。脂溶性ビタミンは、摂りすぎることによっての弊害もありますので、注意しましょう。
とはいえ「目にはブルーベリーが良い」は間違ってはいません。仕事等で目をよく使う方や、あまりにも疲れ目がひどい場合など、即効性を希望するならブルーベリーを。普段ならばビタミンAを欠かさず摂取していれば、目の不調の進行を抑える食べ方になります。その時の、あなたの目の状態を把握して毎日の食事を楽しみましょう。
担当管理栄養士:白井由紀
参考文献
杉田美由紀「白内障・緑内障・糖尿病網膜症 新版」主婦の友社(2007)
菱田明・佐々木敏「日本人の食事摂取基準」第一出版(2014)