我慢しない!美味しく塩分を控えよう!
「塩分の摂り過ぎはからだに良くない」ということは、なんとなく、よく耳にするのではないでしょうか?
事実、塩分の摂り過ぎは、高血圧を招いて血管に負担をかけたり、血液をろ過する腎臓にも負担をかけたりします。慢性的になると脳梗塞や心筋梗塞等といった重篤な事態に繋がる可能性が高まります。また、塩分の摂り過ぎは、むくみを引き起こすので美容の面からも好ましくありません。
健康や美容に気を配る方が増えている現代において、スーパー等で見かける商品にも「減塩」、「塩分控えめ」、「塩分○○%カット」等の記載のある商品が増えています。でも、塩分が少ないと味が物足りず、美味しくないといったイメージがある方は多いのではないでしょうか。
今回は、そんな方々に塩分が少なくても簡単にお料理を美味しくするコツをご紹介したいと思います。
味付けの工夫
基本的な考え方は、塩分が少なくなった分、何かを足して補うということです。大きく分けて、補うものの要素には味と香りの2つがあります。塩分を少なくした分、味や香りで補えば、塩分が控えめでも美味しくお料理できます。
出汁で補う
これはご存知の方も多いのではないでしょうか。味噌汁や煮物等、塩分を減らしても鰹節のイノシン酸や昆布のグルタミン酸、椎茸のグアニル酸等の旨味、そして、香りを付与すれば、塩味を強く感じさせてくれます。
香辛料や薬味で補う
香辛料や薬味は、香りが強く、味にアクセントをつけて満足感を得られやすくなります。
具体的には、唐辛子、コショー、からし、クミン、カレー粉、ねぎ、にんにく、パセリ、しょうが、木の芽、青じそ、みつば等です。加えることで、お料理の彩りを良く出来るものもあり、一石二鳥ですね。
塩の代わりに調味料を使う
塩で塩味を付けるのではなく、塩分が入っている調味料で味付けをすると、塩で味付けをする時より塩分を減らすことができます。これは、各調味料には塩分だけでなく、旨味や香りが含まれるからです。お料理との相性を考えて、調味料をうまく活用してみましょう。
例)すまし汁は塩でなく、薄口醤油で味付けをする、トマトスープは塩でなく、ケチャップで味付けするなど
調理法の工夫
調味料は出来上がりの直前に入れる
お料理の仕上がりの直前に調味料を入れることで、具材の表面に塩分がついて、舌に乗せた瞬間に塩味を感じられるので、減塩に有効です。煮物等、中まで味が染みた方が美味しいメニューもあるので、この方法は全てのメニューには使えないかもしれませんが、生姜焼や照り焼き等にはこの方法がオススメです。
焦げ目をつけて香ばしさを付与する
焼くお料理は敢えて焦げ目をつけ、香ばしい香りを付けることで、塩分を控えても美味しくいただけます。炊き込みご飯におこげがあるととても美味しいですし、お寿司でも、炙り寿司とそうでないお寿司は同じネタでも全く別の味わいがありますよね。香ばしい香りには、それだけの素晴らしい効果が期待できます。
とろみをつける
あんかけや汁物や炒め物等、片栗粉等でとろみをつけられるお料理は、舌に接する時間が長く、比較的味を長く感じられることから、少ない塩味でも美味しくいただけます。とろみをつけることでお料理が冷めにくくなるので、これからの寒い季節にも良い方法ですね。
献立を工夫する
献立のメニュー全体でも、全てを塩分控えめにするのではなく、塩味の濃いめのものと、薄めのものを組み合わせると満足感を得られやすいです。また、塩分が高くなりがちな汁物は具材を多めにし、汁の部分を少なめにしておくのもオススメです。更に、献立の中でカリウムを多く含む野菜やいも類や果物を取り入れると、カリウムの塩分排出効果も望めるため有効です。
塩分を減らした方がいいと思っていても、食事が楽しくなくては続きませんよね。あくまで美味しく、少しずつの減塩で健康の面も美容の面もケアしましょう。
担当管理栄養士:菊地美里
参考文献
・キッコーマン総合病院 「キッコーマン総合病院監修 はじめての節塩定食」 ポプラ社 (2013)
・検見崎聡美 「キッコーマン総合病院監修おいしい血圧対策レシピ 組み合わせ自由自在255レシピ」 主婦の友社 (2014)
・坂本 薫, 橘 ゆかり, 小泉 弥栄, 作田 はるみ, 村田 達雄 「減塩料理に対するうすくち醤油の効果」 日本食生活学会誌 17巻2号p.159-163 2006年
・RYO SHIMOJO, TSUNEO SATO, MIHO IMAMURA, LAIPENG LEONG, YOICHI ITOHIYA, STEFANIE KREMER, JOZINA MOJET Optimally accepted salt reduction across cultures; Naturally brewed soy sauce used in three countries with different food cultures. Agro Food Industry Hi Tech 25(3)