国際中医薬膳師が教える、身体を冷やさないプラス食材
最近では、“薬膳”という言葉もだいぶ浸透してきましたが、「薬のような匂いがする」「見慣れない食材を使う」とういイメージがまだまだあるかと思います。そんな“薬膳”ですが、本当は、「その人の体質や現状に合った、オーダーメイドの料理」ということができ、ちょっとした知恵で、料理を通して自分や大切な人を思いやることができ、身体を整えることができるようになります。
今回は、普段何気なく食べている料理だけど、少し間違えると身体の調子を悪くしてしまうかもしれない料理を紹介していきたいと思います。
冬に食べたい“鍋”の落とし穴
普段私たちは、寒い時は温かいもの、暑い時は冷たいものを食べたくなり、冬には鍋、夏にアイスというような料理を思い浮かべることができます。冬の食卓に欠かすことのできない“鍋”ですが、具材によっては逆に身体を冷やしてしまうことがあるのです。
鍋に入れる食材の王道であろう“豆腐”ですが、実は身体を冷やす性質を持ちます。また、白菜、しめじ、大根、もやし、水菜、だしに使う昆布も冷やす性質を持っています。物理的に温かい料理でも、時間が経つと身体が冷えていってしまうことがあるのです。この時期美味しい“カニ鍋”ですが、カニも実は身体を冷やす性質を持っています。旬のものをはだいたいその時期に取り入れたい食材が多いですが、たまに例外もあるようです。
食材や味を工夫すれば、食べても安心
豆腐が身体を冷やすなら、豆腐は入れないと考えるのは簡単ですが、身体を温める食材をプラスすれば、身体を冷やす作用を弱めることができます。
<身体を温める食材>
・にら・ねぎ・あさつき・しそ・生姜・みょうが・えび・さけ・たい・ふぐ・鶏肉
・さんしょう・酢・唐辛子
聞いたことある食材ばかりかもしれませんが、身体が冷えやすい方は特に意識して取り入れて欲しいと思います。家やお店などは温かく、急に体が冷えるということはあまりありませんが、身体が疲れているときなどは影響を受けやすくなるので注意してください。
薬膳を知って普段食べている料理を意識してみると、自分に合った料理や、体調に合った料理を自分で考えられるようになり、補いたいものや控えたほうがいいものがよく見えていきます。
日本では〇〇は食べてはいけないというような文字を見ることが多くなりましたが、薬膳の世界では食べてはいけないものはないと考えられています。全体のバランスを見ながら選んでいくということが大切です。昔からの体質改善であったり、風邪や頭痛、生理痛など今の症状に合った食事をすれば、それはあなたにとって薬膳ということができるのです。
担当管理栄養士:相川朋世
参考文献
日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改定2版」(株)平河工業社(2014)
伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)