アスリートと貧血の関係、改善ポイントとは?
貧血はアスリートの疾病というイメージがありますか。貧血は鉄とタンパク質から作られるヘモグロビンの値が正常下限未満になる状態であり、酸素運搬機能低下を引き起こす可能性がります。日常生活に支障が出る可能性がありますので、貧血について考えてみましょう。
貧血の原因
アスリートにおける貧血の原因の多くは鉄欠乏です。どのようなことが考えられるでしょうか。
必要量を摂取できていないことが原因の貧血
胃腸が悪い場合、鉄が欠乏しやすいと考えられています。鉄の吸収は腸だけでなく、胃でもおこなわれるため、胃腸の調子が悪いと欠乏につながります。さらにアスリートは、激しい身体活動によって、溶血(赤血球が壊れてしまう)が起こることがあります。
次のような競技は、運動中に足底部を頻回に打ち付ける長距離走、バレーボール、バスケットボール、剣道などの選手に多く認められています。また、消化管から出血すること、運動中に発汗することが多く、発汗量が増えることで鉄をはじめとするミネラルの損失が多くなることで欠乏しやすくなります。
疲労によって胃腸の調子が悪いと効率よく消化吸収がおこなえない場合があることが考えられ、食事から十分な量を摂取していても必要量以下になることもあります。
ただ、鉄の摂取量を増やすことや吸収率を高めるだけの工夫では貧血予防にならないと言われています。なぜならば、ヘモグロビンを作るためにはエネルギー、タンパク質、ビタミン、ミネラルの摂取が必要となります。鉄だけを摂れば良いと言うわけでなく、食事をするときはエネルギー、タンパク質、ビタミン、ミネラルを摂りましょう。
鉄欠乏性貧血になると回復に3~6ヶ月かかると言われています。医師に相談したうえで、鉄の摂取量が食事だけからで足りない場合は鉄剤やサプリメントを使用して補うこともあるでしょう。
貧血を改善するためには?
貧血を回復させるためにはどのようなことがポイントでしょうか。
胃腸の調子を整え食事を摂ること
食事で特に重要な栄養素は鉄、タンパク質、ビタミンCです。食品中に含まれる鉄には、2種類あります。肉や魚などの動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、野菜や海藻や大豆に含まれる非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は15~20%の吸収率と高く、非ヘム鉄は2~5%と言われています。食事するときの量を考えると非ヘム鉄のほうが摂取量は多くなると思われます。ヘム鉄を多く摂取しようと動物性の食品を大量に食べると、タンパク質やビタミンAなどの過剰摂取の問題もありますので、全体の量を考え、動物性の食品から摂れるヘム鉄、植物性の食品から摂れる非ヘム鉄を両方から摂れるとよいでしょう。
できる限り規則正しく食事を摂り、胃腸に負担がかからないような調理方法、咀しゃくも意識してみましょう。
鉄の吸収を高めるための工夫とは?
鉄の吸収を高めるための工夫は、ビタミンCの働きが吸収率を上げてくれます。
例えば、ひじきに多く鉄が含まれています、その多くは非ヘム鉄ですので、ひじきのサラダにはビタミンCを多く含む緑黄色野菜を一緒に摂取することなどの工夫ができます。また果物を一緒に食べることも良いでしょう。
食事をするときに、鉄だけに注目するだけでなく、鉄の種類があることや、吸収率を上げるためのビタミンCを摂取すること、胃腸の調子を整えて食事することを意識しましょう。
担当栄養士:中田恵理
参考文献
・鈴木志保子「理論と実践 スポーツ栄養学」株式会社日本文芸社(2018)
・田口素子「アスリートの栄養アセスメント」第一出版株式会社(2017)