あなたも認知症予備軍?健康寿命を延ばすには!
食習慣・生活習慣の乱れからくる、生活習慣病はあらゆる疾患を起こします。その先にはがんや脳卒中、心筋梗塞など大きな病気にもつながります。今回は意外と怖い認知症についてお話致します。
あなたは家族と意思疎通が取れなくなったらどう思いますか?
認知症とその背景
日本の認知症症例の60%がアルツハイマー認知症、15%が血管性認知症、その他、レビー小体型認知症と前頭側頭型認知症が10%ずつ占めています。
その背景としては、加齢や遺伝が関係する部分もありますが、近年では糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病と関連することが報告されています。
認知症によって起こること
栄養不良
認知症が起こることによって、食事の認識が無くなってくることがあり、次の3つに分類できます。
「摂食開始困難」
食べ始めることができない状態
「食べ方の困難」
食べたり食べなかったり、食べこぼしたりするといった食べ方が乱れた状態
「摂食中断」
摂食動作が途中で止まり、自ら摂食を再開できない状態。
このような状態が起こってくると、自然と摂取量が減少し、栄養不良に陥ってきます。
サルコペニア
サルコペニアに関しては、こちらのコラムもご参照ください。
加齢に伴う筋肉量減少のことで、栄養摂取量が減ってくるとより筋肉を維持することが困難となり、転倒しやすくなったり、歩けなくなったりします。そして終いには、寝たきりになってしまいます。
ほかにも口腔内の問題、食事量減少による繊維不足における便秘、好きなものしか食べないようになり、生活習慣病の悪化など、認知機能低下に伴いとても多くのことが起こりやすくなってきます。
認知症予防のためにしたほうがいいポイント
生活習慣病の改善
痩せ、肥満でも認知症のリスクは上がります。リスク低下のためには、痩せは体重増加、肥満は体重減少が必要です。また糖尿病のリスクがある場合は、脳が糖の利用をしにくくなるので、脳の神経細胞はエネルギー不足に陥り、脳細胞の働きが止まってきてしまいます。まず、ご自身の検査値・体重など数値的な部分を見てみて、異常がないかを確認してみて下さい。
運動
運動で体を動かすことは、筋肉の維持になります。また、筋肉を動かすには、脳を使います。筋肉を維持できれば、体のエネルギー効率があがり、生活習慣病予防にもなります。またサルコペニア予防にもなり、寝たきりにならなければ、自立度も維持できるので認知症予防にもなります。
食事の摂り方
①福岡県久山町の食事法
日本人の認知症予防に適した方法として、福岡県での疫学調査【久山町研究】という結果が有効的と言われています。その内容は、緑黄色野菜、淡色野菜、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品、海藻類の摂取量が多く、米の摂取量が少ない食事パターンが良いということです。
つまり、食事量自体を減らすのではなく、一定のエネルギーの中で主食の摂取量を減らして予防効果のある他の食品(おかず)の摂取量を増やす、バランスの良い食事パターンが日本人の認知症予防に効果的であると示唆されています。
②MCT(中鎖脂肪酸)オイルの利用
MCTのオイルの利用によって、体のエネルギー効率を上げ、認知症予防にもなります。中鎖脂肪酸は普通の油の脂肪酸よりも4倍吸収が早く、代謝も5~10倍速いといわれています。また体は中鎖脂肪酸を利用するとケトン体を生成することができます。このケトン体は脳のエネルギーになるもので、糖の利用ができにくい脳のエネルギー代わりになります。脳の活性にも働いて認知症予防にもなります。
MCTオイルは無味無臭なので毎食の食事に少し加えるだけで中鎖脂肪酸をとることができます。
認知症の予防をすることによって、自立度を保つことができます。自立度を保つことは健康寿命を延ばすことになります。私は病院で多くの認知症患者様を診てきましたが、栄養を摂ってもらうことが難しい方が多いですし、寝たきりの方がほとんどです。歩くなど身体を動かしているだけでも認知症は予防できます。未来の体も自分で自己管理できるように体を維持していってください。
担当管理栄養士:大嶋浩俊
参考文献
・臨床栄養 認知症と栄養(2017.7.1) 医歯薬出版株式会社
・宗田 哲男 最強の油・MCTオイルで病気知らずの体になる!(2018.2.28)河出書房新社
・笠井 高士 認知症と糖尿病 京府医大誌 126(10).697~705 2017 京都府立医科大学大学院医学研究科神経内科学