魅力的な自分になる方法 ~サビない体のつくり方~
乾燥が気になるこの季節、肌の弾力や潤いを与えるとうたう高価なスキンケア製品に手が伸びがちですが、最強のアンチエイジングは、「食事」と「運動」で内面から整えることだと考えています。
肌を美しく保つだけでなく、生活やパフォーマンスをアップさせるためにも、体の内面からのアンチエイジングが必要であり、さらに病気を予防し、健康的な体づくりにつながるものと考えています。
「キレイ」と「魅力的」の違い
美しく着飾ったり、メイクで「キレイ」にはなれますが、キリッとした姿勢や、キラキラとした印象、人を引き付けるような魅力は、内側からでるものです。この内面の美しさを持つ人が「魅力的」に見えるのではないでしょうか。
私たちは、生きるために食べていますが、どうなりたいか、目的をもって食べている人は少ないように感じます。私たちのカラダは食べたものでできていますので、内側からの美しさを得るには「食生活」が大きく影響します。
「魅力的」を手に入れるための食事
近年、炭水化物(糖質)にネガティブなイメージを持つ人が多く、特に米(ご飯)を食べないダイエット方法が浸透しています。確かに、糖質の摂りすぎは肥満につながりますので、ダイエットとは切り離せませんが、一般のイメージとは逆に、ご飯を中心としておかずを食べるスタイルは、キレイな肌やホルモンバランスを保ち、健康を保つのに必要なビタミン、ミネラルを摂れるため、アンチエイジングにおすすめなのです。
3食ともご飯でない人は、代替えにパンやサラダ(野菜中心)をたべている人が多く「低血圧」「慢性的な腹痛」「貧血」「冷え性」「更年期障害」「自律神経の乱れ」「うつ状態」などの体の悩みを持つ割合が、3食ともご飯食の人より高いという報告もあります。
これでは、ダイエットに成功したとしても「衰え」につながってしまいます。問題を改善するために、適度にご飯を食べる日本型食生活を見直してみてください。そして先に述べた通り、「魅力的」は内面を整えないとかないません。美容や健康はもちろん、運動のパフォーマンスをアップさせるために、まずは、栄養素の吸収をおこなう大事な関門である腸内の環境を整えましょう。そのために良い食べ物を摂ることも大切ですが、腸内に炎症を起こすような食品を控える必要があります。
糖質制限の前に「砂糖」をカット
炭水化物を減らす前に、精製糖=白砂糖を摂りすぎてないか考えてみましょう。
料理の中だけでなく、菓子類、菓子パンなどにも多く含まれます。砂糖の摂りすぎは、体の焦げともいわれる糖化の原因になります。糖化は、肌や内臓の老化を促進し、悪玉菌が勢力を増し、善玉菌を減らして、虫歯、潰瘍、腸内環境の悪化の原因になりますので、アンチエイジングの為には控えた方が得策です。フルーツも糖質を多く含みますので、摂りすぎには注意しましょう。キウイや柑橘類など糖質が比較的少なめなものがおすすめです。
添加物や加工食品を控える
加工食品には、食品が腐らないようにする保存料、防カビ剤、おいしそうな色や香りをつけるために使われる着色料や香料、エネルギー(カロリー)を控えるために、砂糖の代わりに甘味をつけるために使われる人口甘味料など食品添加物の種類は膨大にあります。そしてそれらのすべてが体内で円滑に代謝されず、腸内環境を悪化させます。
腸内に真菌のカンジダなど悪玉菌が増えると、慢性炎症から腸壁に穴が開き、通常腸壁を通過してはいけない様々な物質が腸壁の穴から入り込み、アレルギーなどを引き起こします。(リーキーガット症候群)まずは、手軽に摂ってしまいがちなインスタント食品、レトルト食品、スナック菓子、などを控えましょう。
アンチエイジングな油脂の選び方
油脂はダイエットの敵というマイナスのイメージがあると思いますが、私たちの体の細胞膜やホルモンをつくる原料となるため必要なものです。中でも体内で合成されず食事から摂取する必要がある「オメガ3系脂肪酸」と「オメガ6系脂肪酸」は必須脂肪酸と呼ばれています。
必須脂肪酸が不足すると、肌が荒れる、粘膜が乾燥する、便秘になる、疲れやすい、風邪をひきやすい、関節炎になりやすいなど、美容と健康に影響を及ぼします。ただ、現代人は、オメガ6系脂肪酸の摂りすぎが原因のアレルギー性炎症疾患の増加が問題となっています。
オメガ6系脂肪酸はサラダ油やコーン油、菜種油、大豆油、ごま油や加工食品にも含まれるため、つい過剰摂取になりがちです。
アンチエイジングにおすすめなのは、オメガ3系脂肪酸です。抗炎症効果があるので、運動する人は、活性酸素の影響で体が炎症を起こしやすいため、炎症を抑えるためにも意識して摂りましょう。亜麻仁油、えごま油、チアシード、くるみオイルなどの他に、サバ、アジ、イワシ、サンマ、などに多く含まれます。オメガ3脂肪酸は火を通すと酸化しやすいので、オイルはドレッシングなどの非加熱で、魚はできればお刺身で食べるのがお勧めです。
また、マーガリンやショートニングなどトランス脂肪酸は控えていただきたい油脂です。
これらは、代謝時に体内のビタミンとミネラルを大量に消費し、アレルギー促進物質を増やし、アレルギー抑制物質を減らすなど体内の炎症の原因になるためできるだけ控えましょう。
老けない運動のしかた
ランニングでも筋トレでも、適度な運動は体にさまざまな良い影響を与えます。これが過度な運動になると、逆に悪影響を及ぼします。
その原因となるのが「活性酸素」です。活性酸素は私たちの細胞を酸化=サビさせる、つまり老化の原因の一つです。活性酸素は、シミ、シワ、たるみなどだけでなく、動脈硬化、高血圧、糖尿病など様々な病気の原因になります。
活性酸素は、私たちが生きていく上で欠かせない酸素が体内に取り込まれる過程で自然に発生します。私たちはこの活性酸素を分解する酵素も持っていますが、分解のスピードには個人差があり、老化のスピードにも関係しています。「疲労感」を感じ始めたら、活性酸素がたまり始めていると考え、運動量をコントロールしましょう。
また、私たちの体には、約60~90兆個の細胞があり、このほぼすべての細胞に「ミトコンドリア」というエネルギーをつくりだす物質が含まれています。ミトコンドリアは、適度な運動で増え、それによりエネルギーをつくりだす能力も高まりますので、習慣的に適度な運動を行うことはアンチエイジングにつながるのです。運動は、楽しく、気持ちよく、週2~3回のペースでおこなうことをお勧めします。
あなたの選ぶ食事と運動があなたの体をつくります。
食と運動で内側から体を整えることがアンチエイジングにつながります。
担当管理栄養士:中川洋子
参考文献
・黒田愛美「アスリート医師が教える最強のアンチエイジング食事術51 運動術26」文藝春秋(2019)
・肌乾燥が、老け見えを招く (20190211閲覧)