「コレステロールが高め」と言われたらどうする?
健康診断で「コレステロール値や中性脂肪の値が高め」と言われたことはありますか?
血液中にふくまれるコレステロールや中性脂肪などの脂質が、一定の基準よりも多い状態を、脂質異常症と言います。血液中に余分な脂質が多くなると、動脈硬化を起こしやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。ですが、コレステロールや中性脂肪は、私たちの身体にとって大切な役割を持っていることも確かです。適切な状態を保つためにはどうすればよいのでしょうか。
(※健康診断などで「脂質異常症の疑いがある」といわれたときは、放置せずに早めに受診して医師の指導を受けることが大切です。)
コレステロール、中性脂肪の役割
コレステロールは、細胞を守る細胞膜、血圧の調整やエネルギー代謝、ストレス状態に対応するために必要な副腎皮質ホルモン、脂質の消化吸収に使われる胆汁の原料であり、私たちの体にとって不可欠なものです。そのため、食事由来のコレステロールは体内で合成される量の3分の1から7分の1程度で、摂取量によって肝臓での合成量が調節されています。
コレステロールには「善玉(HDL)コレステロール」と「悪玉(LDL)コレステロール」があることが良く知られていますが、この2つは同じコレステロールでも体内での役割が異なります。
体の隅々までコレステロールを運ぶ働きをしているのが悪玉、反対に体から余分なコレステロールを回収する働きをしているものが善玉と呼ばれます。悪玉が多く、善玉が少ない状態でコレステロールがたまりやすくなります。
中性脂肪はトリグリセライド、トリグリセリドとも呼ばれ、普段は皮下脂肪などに蓄えられ、摂取エネルギーが足りない時のエネルギー源になります。
食生活を振り返ってみましょう
LDLコレステロール値、中性脂肪値が高い場合、同時にHDLコレステロール値も低くなることがあります。健康診断で気になる結果が出たら、普段の食生活を振り返ってみましょう。(※遺伝的要因によるものもあり、家族に脂質異常症の人が多いなど場合は、自己管理だけでなく早めの受診が必要です。)
動物性脂肪の多い食品(肉類、乳製品など)、コレステロールを多くふくむ食品(鶏卵、魚卵、レバーなど)をよく食べる、食べすぎ、飲みすぎなど慢性的なエネルギー過多になっていませんか?また、運動不足や喫煙、肥満はHDL(善玉)コレステロールが減ってしまう原因に挙げられています。
食事内容と合わせて意識してみましょう。
おすすめの食事、食べ方
ご飯、パンなどの主食の穀物類には脂質が少ないので、主食をきちんと食べましょう(食べ過ぎには注意)。そして動物性脂肪、とくに肉類を少しひかえめにしましょう。牛肉や豚肉を食べるときにはロースよりもヒレ、また鶏肉の場合には皮を食べないようにするだけでも、脂質をかなり減らすことができます。
動物性脂肪でも、魚に多くふくまれている不飽和脂肪酸には、悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きがあります。その代表がEPA(イコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)です。青魚(サンマ、イワシなど)などおかずに魚を積極的にとり入れるようにしましょう。
また血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働きがある、豆腐、納豆などの大豆食品や、コレステロールや中性脂肪が腸内で吸収されるのをさまたげる食物繊維も意識してとりましょう。食物繊維が多いのはイモ類、根菜類、キノコ類、野菜類、豆類、海藻類などがあります。
そして、食べすぎによるエネルギー過多を防ぐため、腹八分目を心掛けること。そのためには、ひと口ごとに箸を置き、よく噛んで食べることで早食い防止、食べ過ぎ防止になります。食事の時間をゆっくりとりリラックスして食べることをおススメします。
生活習慣や食生活、栄養素のバランスの見直しサポートが必要な場合は、パーソナル管理栄養士へご相談くださいませ。
担当管理栄養士:外山裕子
参考文献
・曽根博仁「栄養学と食事・栄養療法」羊土社(2019)
・寺尾純二、村上明「食品学総論」中山書店(2018)
・香川靖雄、近藤和雄、石田均、門脇孝「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち総論」改訂第2版 南江堂(2013)
・「ストレスと循環器病」国立循環器病研究センター循環器病情報サービス
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph22.html(20192.24閲覧)
・「脂質異常症」オムロン生活習慣ガイド
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/guide/dyslipidemia/08.html(20192.24閲覧)