国際中医薬膳師が教える、花粉症のタイプ別対処法
今年も花粉症のシーズンが到来しました。早い人は10月くらいから始まり、鼻水、鼻詰まり、咳こみ、頭痛、目のかゆみなどの症状に悩まされると思います。
中医学では、身体が健康であれば外から邪気が入ってきても、その影響を受けたりしないと考えられています。そのため、花粉が原因というよりは“身体のどこかに不調があるから”邪気を対処できずその症状が起こると考えられ、その原因を対処することで症状を軽くすることができます。
花粉症をタイプ別に考える
花粉症を中医学では、水の代謝や排泄が正常にいかない「水分代謝の異常=水毒」ととらえています。そのため、余分にたまった水分をうまく身体から排泄できるようにすることが大切です。一般的に、花粉症は症状問わずにひとくくりにされていますが、花粉症を大きく2つに分けると「熱タイプ」と「冷えタイプ」に分けることができ、その対処法にも違いがあるのです。
冷えタイプの花粉症
冷えタイプの花粉症では、水っぽい鼻水が出る・くしゃみがよく出る・むくみやすい・冷えやすいなどが主な特徴です。
もともと冷え性の方や女性に多いタイプです。冷えを取り除くことが大切なので、身体を温めることを意識しましょう。葱や生姜などの香味野菜、胡椒や唐辛子などの香辛料を意識的に摂るようにしましょう。一方で、冷たい飲み物や生野菜サラダなどの冷たいものは避けるようにしましょう。
熱タイプの花粉症
熱タイプの花粉症では、鼻が詰まる・黄色の粘りのある鼻水が出る・目がかゆい・頭痛がする・熱っぽくてボーとするなどが主な特徴です。
このタイプは、肺に熱がこもって全身に送られるはずの水分が滞ってしまっています。肺の熱を冷ますレンコンや白菜、きゅうりなどの白い食材や夏野菜を意識するようにしましょう。また、スーッとするペパーミントなどの香りも効果的です。
胃腸の調子を整え、余分な水分を取り除く
花粉症になりやすい人の多くは、身体をバリアして邪気から守る「衛気」という気が不足していて、少しの刺激で反応してしまいます。
全体的に気が不足していて、疲れやすく、生活習慣・食習慣の乱れている現代の人々は、もともと花粉症になりやすくなってしまっているのかもしれません。気を補うためには、食べたものをしっかり胃腸で消化・吸収しなければなりません。そして、中医学ではこの消化吸収は“脾”が担うと考えられ、この“脾”が弱ると、水分の代謝が悪くなるとも考えられています。
この胃腸を整え、身体に余分な水分を取り除く食材である豆類を積極的に摂るようにしましょう。大豆、いんげん、あずき、黒豆などの豆類を特に意識するようにしましょう。
花粉症になると、薬やマスク、空気清浄機などの花粉から身を守ることを意識しがちですが、実は身体のバランスを整えることが効果的なのです。最近では、ティーパックで黒豆茶やあずき茶、トウモロコシ茶などが販売されていて、普段飲むお茶を変えることで体の余分な水分をとり、花粉症の症状を抑えることができます。普段食べるものを意識すると、花粉症だけでなく体質も改善できるかもしれません。
担当管理栄養士:相川朋世
参考文献
・日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改定2版」(株)平河工業社(2014)
・伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)